あああーっす

すんごいことを書く。

帰省

帰省をすると部屋に篭りがちになる。
篭りがちになると部屋をかき回すようになる。
かき回すと古い品々が見つかる。
どれだけ整理してその度に目にしていても、あらためて見ると、また思い出に浸かりたいと感じてしまうものだ。

小学生の時分に書いた自分史というのをみつけた。
たしか六年生の卒業がちかくなった頃につくったもので、入学からその当時までの沿革を記せというものだった。
先生にはただ沿革を記せと言われたのみで、型などはなかった。
私は周囲と同調するのをきらう性分であったため、自分の歴史を紀元前から綴った。
どうやら私は宇宙へもいったことがあるらしい。
子どもの遊びである。

高校時代には、世俗的なミステリが私の中心であった。
あるとき本屋でみつけた学園ミステリを読み耽り、自分もいつかはこういう作家になりたいものだと細細とこころざしたこともあった。
その夢の跡が発掘された。
稚拙な文体で、三ほどの短い物語が展開されていた。
見返して恥ずかしくなる言葉の取り様であった。
ただ、自画自賛ながら物語自体はおもしろく感じた。
自分で書いておいて忘れていた筋には、この先どうなるかと中中ひきつけられた。
ストーリーテラーになれるのかもしれない。
小説家になりたい。

物は捨てるべきではない。
懐かしむ娯しみがなくなってしまうから。
捨てられない男になろう。
そんな人は嫌われ、棄てられるきらいがあるけれど。